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札幌地方裁判所 昭和41年(わ)136号 判決 1967年5月13日

本店

札幌市南三条西四丁目一七番地

株式会社大和洋装店

右代表者

亀井精一

本店

右同所

株式会社ダイワ商事

右代表者

亀井精一

本籍

愛媛県越智郡魚島村一番耕地一五一番地

住居

札幌市南三条西四丁目一七番地

会社社長

亀井精一

明治四五年七月一日生

右三名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤泰也出席のうえ審理を終え、つぎのとおり判決する。

主文

被告人株式会社大和洋装店を罰金三〇〇万円に、被告人株式会社ダイワ商事を罰金一〇〇万円に、被告人亀井精一を懲役一年及び罰金一〇〇万円に、それぞれ処する。

被告人亀井精一において、その罰金を完納することが出来ないときは、金一、六〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人亀井精一に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一、被告人株式会社大和洋装店(以下被告会社大和洋装店と略称する。)は、昭和二九年三月三〇日札幌市南三条西四丁目一七番地に本店をおき、資本金五〇万円、営業目的を繊維製品の販売等と定めて設立され、その後資本金を一五〇万円に増資し、現在に至るまで、営業を継続している法人であり、被告人亀井精一は被告会社大和洋装店の設立以来花見一夫とともに代表取締役としてその業務の一切を総括掌理していたものであるところ、

被告人亀井精一は、被告会社大和洋装店の取締役亀井一吉又は亀田年夫と共謀のうえ、同会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、洋服生地の現金売上の一部を脱漏させる等の不正な方法により所得を秘匿して、

一、昭和三七年二月一日から同三八年一月三一日までの事業年度において、実際所得金額が二九、二〇一、九〇三円であつたのに拘らず、同三八年四月一日所轄札幌税務署において、同署長に対し、所得金額は二、九七六、二六四円である旨虚偽の確定申告書を提出し、よつて被告会社大和洋装店の右事業年度における正規の法人税額一〇、九六六、九二〇円と右申告税額一、〇〇二、九七〇円との差額九、九六三、九五〇円を逋脱し

二、昭和三八年二月一日から同三九年一月三一日までの事業年度において、実際所得金額が一〇、三三五、三六八円であつたのに拘らず、同三九年三月三一日所轄札幌税務署において、同署長に対し、所得金額は一、五四九、五四六円である旨虚偽の確定申告書を提出し、よつて被告会社大和洋装店の右事業年度における正規の法人税額三、八〇〇、八三〇円と右申告税額四八五、七九〇円との差額三、三一五、〇四〇円を逋脱し、

第二、被告人株式会社ダイワ商事(以下被告会社ダイワ商事と略称する。)は、昭和三七年一〇月一三日札幌市南三条西四丁目一七番地に本店をおき、資本金二、〇〇〇万円、営業目的を繊維並びに毛皮類の販売等と定めて設立され、現在に至るまで営業を継続している法人であり、被告人亀井精一は、被告会社ダイワ商事の設立以来、代表取締役として、その業務の一切を総括掌理していたものであるところ、

被告人亀井精一は、被告会社ダイワ商事の取締役亀井一吉と共謀のうえ、同会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、洋服生地の現金売上の一部を脱漏させる等の不正な方法により所得を秘匿して、昭和三八年五月一日から同三九年四月三〇日までの事業年度において、実際所得金額が九、四〇一、七六一円であつたのに拘らず、同三九年六月三〇日所轄札幌税務署において、同署長に対し、所得金額は欠損一、一九九、四一〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、よつて被告会社ダイワ商事の右事業年度における正規の法人税額三、四二二、六四〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一、被告人亀井精一の当公判廷における供述

一、被告人亀井精一の検察官に対する供述調書(二通)

一、被告人亀井精一の大蔵事務官に対する昭和四〇年一月二六日、同月二七日、同年二月二九日、同年三月二九日、同年四月二八日(但し、用紙一九枚使用のもの)、同年七月一四日付質問てん末書(六通)

一、被告人亀井精一作成の上申書

一、亀田年夫(三通)、亀井一吉(二通)、花見一夫(二通)、亀井キヨ子、佐藤政子、片岸昭雄、芦立浩行、石河トモ子、宝金美弥子、我妻洋子、佐藤利夫、佐藤昭雄、橋本政夫の検察官に対する各供述調書

一、橋本政夫、真鍋哲夫作成の各上申書

一、大蔵事務官堀川浩作成の検査調書

一、姥沢悟、山田澄夫、川代正哉、藤田定一作成の各答弁書

一、佐藤一夫作成の定期預金(三通)、普通預金出入表と題する各書面

一、阿部久雄作成の定期預金明細、普通預金出入表(二通)と題する各書面

一、松野義正作成の定期預金出入表、定期預金出入記入表等、定期積金出入記入表、普通預金出入表(七通)と題する各書面

一、押収にかかる大学ノート(昭和四一年押第八〇号の三)、手帳(同号の四)

判示第一、一、二について

一、登記官吏斉藤一郎作成の株式会社大和洋装店の商業登記簿謄本(二通)

一、被告人亀井精一の大蔵事務官に対する昭和四〇年四月二八日付質問てん末書(但し、用紙四枚使用のもの)

一、押収にかかる株式会社大和洋装店の法人税確定申告書(昭和四一年押第八〇号の一)、手帳(同号の五)、株主名簿(同号の六)、元帳二通(同号の七、八)補助簿二通(同号の九、一〇)

判示第二の事実について

一、登記官吏斉藤一郎作成の株式会社ダイワ商事の商業登記簿謄本

一、被告人亀井精一の大蔵事務官に対する昭和四〇年四月二八日付質問てん末書(但し、用紙七枚使用のもの)

一、押収にかかる株式会社ダイワ商事の法人税確定申告書(昭和四一年押第八〇号の二)

をそれぞれ総合してこれを認める。

(法令の適用)

被告人亀井精一の判示第一の一、二、第二の各所為はそれぞれ法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則一九条により、同(法昭和二二年法律二八号)四八条一項、刑法六〇条に該当するので所定刑中懲役刑と罰金刑とを併科することとし、被告人株式会社大和洋装店については、被告人亀井精一の判示第一の一、二各違反行為に基ずき、判示第一の一、二に関し法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則一九条に従い、同法(昭和二二年法律二八号)五一条一項により、被告人亀井精一についての前記各本条の罰金刑を科すべく、被告人株式会社ダイワ商事については、被告人亀井精一の判示第二の違反行為に基ずき、判示第二に関し法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則一九条に従い、同法(昭和二二年法律二八号)五一条一項により、被告人亀井精一についての前記本条の罰金刑を科すべきところ、被告人亀井精一に対する判示第一の一、二、第二の各罪は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第一の一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については、同法四八条二項により判示第一の一、二、第二の各罪所定の罰金額を合算し、被告人株式会社大和洋装店に対する判示第一の一、二の各罪は、同法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により判示第一の一、二、の各罪所定の罰金額を合算し、以上所定の刑期及び罰金額の範囲内で被告人株式会社大和洋装店を罰金三〇〇万円に、同株式会社ダイワ商事を罰金一〇〇万円に、同亀井精一を懲役一年及び罰金一〇〇万円に各処し、被告人亀井精一については、右罰金を完納することが出来ないときは、同法一八条により、金一、六〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、懲役刑については、情状により同法二五条を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 萩原寿雄 裁判官 白井皓喜 裁判官 小山三代治)

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